東日本大震災の復興応援

(1) 埼玉県の被災地復興応援は限界の限界を超えて

 私は阪神淡路大震災の時、神戸市灘区役所で半月間、災害ボランティアとして活動した事をきっかけに、市議会議員に立候補し、以降これまで16年間で起きた名古屋水害・中越地震・中越沖地震において災害ボランティアとして活動してまいりました。 私の今回のこのテーマについての質問は、単に質問している担当の職員にだけでなく、恐縮ですが、今私の声を聞いて下さっている、お1人お1人の皆さまに申し上げたいと思っています。 東日本大震災の被災地に行って、私が痛感したのは、妻を亡くされ、子供を亡くし、家も無くし、まち自体が壊滅的な被害を受け、仕事場も無くし、親族も友人も亡くされた被災者の方と、私は例えば「立場を変われ」と言われても、変わる事は出来ないと思いました。皆様はいかがでしょうか。 被災された方と立場を変われないのであれば、私達被災していない国民に必要なのは、限界の限界を超えて復興の応援をする事ではないでしょうか。 被災地にお邪魔して、義援金は国民の多くの皆さんが何度も募金に協力されている中でも、まだまだ全然足らないと痛感しました。市街地全てが津波の被害にあった場所に立って、生きる気力すら失うほどの圧倒的な壊滅状態だと思いました。 被災者でない私達は被災地にいる時だけその光景を見ている訳ですが、被災地におられる方は、毎日見ざるを得ず、県外に避難されている方々においても、常に頭の中にその光景があると思います。被災された方は絶望に耐えて頑張っていらっしゃる。特に頑張らなければならないのは、政治と行政だと思います。 被災地の復興には“増税”が必要だと言う話もありますが、国民の全体を見て考えれば、増税に耐える余裕のない方は大勢いらっしゃり、増税を避ける為にやらなければならない事があると思います。 埼玉県はご承知の通り、知事が全国知事会の“復興協力本部長”です。では他の都道府県ではなくて、復興協力本部長がわが県のトップである埼玉県でやろうと思う事について、知事にご所見を伺います。 様々な面での埼玉県のイノベーション・斬新な取り組みにより、国を動かそうとされる知事の動きが県民の一人として楽しみです。

(2) 義援金の募集

 義援金は、更に1円でも、千円でも多く集めたいと思います。 今回の震災に限らず、市役所では誰もが目につく所に募金箱が設置されております。大変恐縮ですが、県庁も入口に置いてあるものと思っておりました。 一方、福井県・沖縄県などでは、本来自分の県に納められる税金を、被災地にふるさと納税する事を県民にお願いしており、県内では私の知る限り、熊谷市・宮代町が実施。特に福井県では、納税通知書にパンフレットを入れて呼びかけ、実施している港区長は「今は、被災者や被災地域の復興が重要」だとコメントしています。 また、東京都・愛知県・福岡県などでは、県独自に義援金の口座を設けるなどして募集しており、福岡県では先週の時点で、2億6千万円集まったそうです。 埼玉県には、義援金の受付窓口がなく、「日本赤十字社・共同募金会」を紹介しているのみです。 義援金の募金活動をする側の立場に立ってお考え頂ければと思いますが、市町村役場の窓口では基本的には受付ておらず、銀行で送金する事になり、手元に残るものは、“銀行の伝票”しかありません。これでは味気なく、募金にご協力頂いた方への報告も不便です。では、市町村の日赤支部窓口で領収証を発行していいか、市が日赤埼玉県支部に確認したところ、出来ないとはっきり言われたそうです。 企業からの支援金の場合、県は感謝状を出しているとの事ですが、そうしている事をもっとアピールして、義援金を募集してはいかがでしょうか? 今以上にもっと多くの義援金を集める為の仕掛けはおありになるのでしょうか?

(3) 被災地の物産品販売応援

 私は今、人と会う度に「被災地の物産を売れるイベントがあったら教えて下さい。利益は全額義援金になります。仕入れは私が出来ます」とお願いしております。それは行政主催のイベントに限りません。例えば先週もフラダンスのイベントで、主催者の方が売って下さいました。 私は県が主催するイベントは、原則チャリティーにして、義援金を呼びかけたり、物産品コーナーを設けたりして頂きたいと思いますが、いかがでしょうか? また県が市町村に紹介したり、県民の皆さんにPRしてはいかがでしょうか?

(4) 県職員による被災地応援(派遣・ボランティア)

 今回の震災に限らず、これまで行政は職員の応援について「被災地からの要請がない」事を理由にして来ました。しかし、皆さんのご兄弟が被災していたら、同じ事をおっしゃいますでしょうか。県同士は言わば兄弟みたいなものです。先方からの要請を待たずに、自らニーズを把握して活動する事が望ましいと思います。 埼玉県は、今回技術職の職員を派遣し、その後方支援の為の事務職員は派遣しておりますが、事務職員自体はいつからどのぐらいの規模で派遣するのでしょうか? ボランティア休暇を活用して東北に行った県職員は9人との事ですが、県職員がボランティアに行く事を盛り上げられないでしょうか? 今回の震災で、県が主体的に取り組めば、次の災害の時に、よりアクティブに活躍出来るようになると思います。

(5) 埼玉県独自の被災者の雇用創出

 被災した県のうち、宮城県は集団移転や土地の区画整理などの復興対策費用が2兆1千億円必要だと試算しました。この試算には、仙台市が除かれ、がれきの撤去処理や学校・病院の再建などは含めておらず、9000億円が市町村負担となりますが、被災した市町村の昨年度の予算は合計2000億円余りしかなく、財政破たんに陥ると指摘しています。 そして、東日本大震災で被災した岩手・宮城・福島の6割以上の市町村が震災から3か月が経っても復興のメドが立っていない、産業や雇用の回復については9割の市町村が「メドがたっていない」と答え、今最も訴えたい事の問いには、従来の制度にとらわれない抜本的なスピード感ある支援策を打ち出すよう求めています。 国だけでなく埼玉県でも、従来の制度にとらわれない、スピード感ある応援策が必要だと思います。 阪神大震災や中越沖地震では、津波被害は無かったので、道1本隔てた住宅は軒並み倒壊・半壊していても、他の所はそれ程の被害は無かったりして、まちの中で、仕事の再開や復興が比較的しやすかったですが、今回の津波被害では、まち全体がマイナスからのスタートな所が多い現状です。 津波による浸水面積は合計561平方キロで、山手線内側の面積の約9倍に当たり、津波被災世帯数 21万世帯で、恐縮ですが、例えば県内に当てはめますと、川口市と、県内の郡の合計世帯数がそれぞれ21万世帯で、また津波により被災した事業所数は5万3千、従業員数は48万人だそうであります。 震災復興計画は、津波の教訓から「山を切り崩して、そこに街をつくる」と国は言っていますが、国の予算は、震災前でも年間予算の半分を新たな借金で補い、先進国で一番借金の残額が大きい事はご存じの通りです。 誰しも、住み慣れた地域で、住み続けていきたいと私も思います。しかし、政治・行政はきれい事ばかり言うのでなく、当事者の為に時には、大きな決断をお願いしなければならない事もあると思います。今後日本の人口は減っていく中で、地方は更に人口が減る事は目に見えています。私には、もとの通りにするに十分な復興できる財源があるとは思えません。しかしそう思うからこそ、被災された方々が、移り住める為のインセンティブ・奨励策として、雇用創出・住宅支援などといった具体的な手当てが必要だと思います。 埼玉におみえになっている被災された方に、就職相談はなされていますが、就職が見つかっていない方の雇用の確保はもとより、現在被災地におられる方で、生計のメドがたっていない方は多くいらっしゃる事を考え、埼玉にお来し下されば、被災者の雇用が創出されるように、今議会で提案されている国の緊急雇用対策の利用のみならず、県独自の予算を確保してはいかがでしょうか? 比較的震災被害の少なかった埼玉県からイニシアティブを取ってやる事により、国を動かしてはいかがかと思います。 県独自の雇用創出の仕事内容は、県内のNPOなどの仕事で雇いたいが雇えない事業への補助や、県内の空き店舗での起業支援をしてはいかがでしょうか? また、被災地応援を最大限推し進める為、県庁内に復興応援担当窓口を設置し、被災者の方を雇用して、担当としてはいかがでしょうか?

(6) 被災者の住宅対策

 今議会に議案として出されている、被災者への住宅支援ですが、原子力発電の避難地域に指定された方や全半壊して住めない方以外に、自主避難の方は対象にするのでしょうか?対象にするとすれば制度を1日も早く発表して頂きたいと思います。 また災害救助法を適用するだけで、住宅支援を埼玉県が対応する場合、わずか1年間で最長でも2年という短いもので、もと住んでいた地域には津波で何らかの対策をしない限り、住めないので、これまでの震災とは違うので不十分で、被災者の視点に立てば、見ず知らずの地域に移り住もうと思えません。そうでなくとも、被災された方は、大きな痛手を負われ、今後生きていく上で決めなければならない事は山ほどおありになります。県として3年くらいの中期的な支援にして、被災された方が埼玉に移り住もうというインセンティブにしていかなげれば制度があっても中々進まないと思いますが、県独自の考えはいかがでしょうか?

(7) 県内被災者への支援

 住宅の被害で被災者生活再建支援法で救済されるのは全壊世帯ですが、埼玉県久喜市南栗橋地区は液状化により、94世帯が「一部破損」で、全戸が支給の対象外とされました。今回の震災ではたまたま久喜市でしたが、今後の災害でも液状化は起きるかも知れない事も踏まえ、県の液状化した地区への支援はいかがでしょうか?

(8) 被災した児童・生徒の学習の遅れ対策

 今回の震災では、これまでの震災以上に、学校の授業再開に時間がかかりました。授業が再開されても親を亡くしたり、あの震災の惨状を目の当たりにした子どもは落ち着いて勉強が出来ていたとは思えず、学習の遅れを取り戻す事そのものの対策が必要だと思います。 そこで、例えば県で被災した児童・生徒の塾に通う費用を一定程度補助し、学習塾で残りの額を負担してくれる所を募集し、学習支援を行ってみるのも、一案だと考えます。 県は、被災した児童・生徒の学習の遅れ対策をどのように取られるのでしょうか?

答弁者:上田きよし県知事

 「埼玉県の被災地復興応援は限界の限界を超えて」に、いくつか、いろいろなアイデアをいただき、感じるところもたくさんありました。 確かに、義援金募集、あるいはボランティアの募集、こういった部分でまだまだ私たちに考える余地があるのではないかというようなことをまず感じたところです。 まず、埼玉県が今回の取組の中で、一番誇ったのは、実は、比較的ゆっくりしていると言われている教育委員会がすばらしく早かったことです。 実は、4月8日が入学式でありました。4月4日までに、何らかの形で手続きを取った子供たちに関しては、全員入学して、なおかつ、その時点ですべての教材等々、全部、何が何でも用意をすると、その負担をどうするか、こうするかというのは、二の次ということで、教育長の判断、あるいはまた私なりの判断の中でそういうことを決定いたしました。 私はやっぱり、非常時は非常時の決定のしかたがあるのではないかというふうに思いました。 スーパーアリーナの活用は、これは基本的には帰宅困難者を受け止めるというところからスタートしました。 そこで、避難者の次は受け止めということになりました。 当初、1,600人の方が双葉町からこられるというニュースを聞きました。 これは、ちょっと違うなという風に思いましたので、多分、役場ごと、町ごとというイメージでしたので、町長の方針の中で、コミュニティーを壊さないということを前提にしているなと思いましたので、次の事をもう考えました。 スーパーアリーナにずっとという訳にはいきませんので、1,600人ではなく1,400人でしたけど最初は、その方々を入れる“器”というものを考えました。 これももうやっぱり非常時ですので、非常時の考え方の方が良いだろうということで、私はそういう非常時においては、非常時の考え方の中で処理をするということが、一番大事だという風に思っておりましたが、まだまだ相手側の立場に立ってないということを感じたところもあります。 現在、全国知事会の方で、復興協力本部長の役割を担うように会長から言われ、そうした手続きの元締めをやっているところですが、実は、それぞれのルートでも、既存で動いておりますので、新たにそれを集約したり新たに何かコースを作ったりすると非常に難しい部分がありますので、この部分に関して言えば被災地の自治体の責任者と、そしてまた実務者クラスから、両方からヒアリングをやって、一番大事なことだけやろうということで、現在、一番大事なことは、義援金の支払い事務が滞っている所があるというところであります。 この部分に関して、さっそくそのお手伝いをするための人の派遣を新たにやろうということで、全国知事会的には、それぞれのブロックごとに分けた形で、関東ブロックでやる場合には、各県ごとに、向こうの要請は中長期に入ってほしいという話ですが、派遣する側は中長期を嫌う部分があります。 従って、結果として中長期になうような仕組みづくりをして応援しようと考えておりますので、こういうカバー体制を作ることに全力を今尽くしているとこであります。

次に、「埼玉県独自の被災者の雇用創出」でありますが、正直なところ、なかなか困難です。それは復興のシナリオがよく見えないからです。 とりわけ福島県の方はいつ戻れるのか、いつから本来の状況になるのか、いつ頃ということすらも見えないというところで、なかなか現実問題として困っておりまして、実際、多くの企業から、具体的には6月21日現在で1,253件の求人そのものはあるんです。ところが、就職された方々は102人でありますので、そういう意味では圧倒的に少ないです。 被災者の気持ちを尊重して、その希望に応じた形での復興支援というものを、私たちなりにやっているつもりですが、実際は非常に困難だということを申し上げざるをえません。 それから雇用の創出について、緊急雇用基金を活用して、雇用の創出に努めているところですけども、実際、今お話ししたように行きつ戻りつをされておられます。 いい話を聞けば、戻ることを前提にしなければならないということで、かえってご迷惑をかけるかなと。週刊誌を読むと長期化しそうだから、就職しなければ。 しかし、その間にまた、違う話を聞かれて、戻るという形で、県独自に雇用の創出を被災者のためにやれという話というのは、そこまでのニーズがやっぱりないというのが、現状であります。 次に、復興応援担当窓口の設置、これはとても良い話だなと思っております。 確かに、災害対策本部を中心に窓口としてやってきました。 また観光の力で日本を元気にということで、できたら東北に行きましょうと、遠い場合は。近い場合は埼玉という事も訴えておりますが、ただ、確かに東北の観光振興や物産展の開催などは、そこだけに特化するような窓口を作ることで、より確かな支援ができるのではないかと言うことでありますので、復興全体もさることながら、極力、一定の分野に迫った形でのワンストップで、総合的な窓口を設置したいと思います。 その窓口に、被災者を就職させたらどうかというご提案でありますが、そのふさわしい方がいらっしゃれば一番いいのですが、言葉の壁とかですね、いろいろな課題があるかもしれませんので、分かりましたというわけにはいきませんが、その事も含めて考えてみたいと思います。

答弁者:危機管理防災部長

 (2)「義援金の募集」についてお答えを申し上げます。 多くの義援金を集めるための仕掛けはあるのかということでございます。 今回の大震災に対する県民からの義援金は、日本赤十字社や中央共同募金会の募金活動が、全国に浸透しておりますことから、これらを通じて行っています。 現在、県は被災地支援のための冠イベントにおいて、募金活動を実施し、これらの団体を通じて、売上金の一部や入場料を義援金とさせていただいております。 今後は、9月1日に本県がメイン会場で実施される九都県市合同防災訓練や市町村で実施される防災訓練などで、募金活動を実施してまいります。 さらに、防災意識が高まっておりますことから、地震対策セミナーや地震防災をテーマとする県政出前講座など防災関係の催しにおいても、積極的に義援金を募ってまいります。 今後も引き続き、様々な工夫で少しでも多くの義援金を集め、被災地支援に取り組んでまいります。

答弁者:産業労働部長

 (3)「被災地の物産品販売応援」について、お答えを申し上げます。 首都圏に位置する本県で、イベント開催時に義援金の呼びかけや被災地の物産品販売を行うことは、復興支援として大変意義あるものと考えています。 県では、4月から各部局のイベントに「東日本大震災復興応援イベント」の冠を付け、売上の一部を被災地の支援に当てています。 また、同様の対応を各経済団体にも協力依頼いたしました。 5月に開催いたしました「埼玉B級ご当地グルメ王決定戦」では、約130万円を義援金として寄付するとともに、東北地方の地酒販売なども行いました。 市町村でも、すでに様々な復興応援イベントを実施しております。 今後も、県の観光情報誌や観光サイトに『被災地の物産販売サイト』を設けるなど被災地の復興支援に努めてまいります。

答弁者:総務部長

 (4)「県職員による被災地応援」について、お答えを申し上げます。 まず、県職員の派遣についてでございます。 本県では、被災県を支援するため、これまでに事務職員40名を含め238人を派遣してまいりました。 職員の派遣に当たっては、現地の支援ニーズをしっかり把握し、速やかに対応するため、福島県の災害対策本部に職員2人を常駐させ、 岩手県、宮城県とは、現地と直接連絡をとりながら、支援を行っております。 こうして得た情報をもとに、7月からはさらに技術職員を、福島県に4人、岩手県に3人派遣することとしております。 また、事務職員についても、福島県の仮設住宅審査事務に10人、宮城県の災害復旧補助金事務に1人を派遣する予定となっております。 さらに、早急な対応が必要な「義援金支払い事務」などについても、必要な人数の事務職員を迅速に派遣してまいります。 今後とも、支援要請を待つことなく、県自ら的確にニーズを把握し、被災地の立場に立ってしっかりと支援してまいります。 次に、県職員のボランティアについてでございます。 職員にアンケートを行ったところ、1572人から回答があり、延べ115人が、ボランティア休暇のほか、土日・祝日を活用し、震災ボランティアを行っておりました(質問の打ち合わせの段階で、県は把握していなかったので、アンケートを取った)。 このうち51人が東北の被災地で、がれきの撤去、物資の運搬や配布、避難所支援などの活動を行っております。 さらに、回答のあった職員の51%が今後、震災ボランティア活動を行いたいと希望しております。 このため、ボランティア休暇制度の活用を促すとともに、震災ボランティアに参加した職員の実体験などを紹介してまいります。 また、NPOなどが企画している「東北ボランティアツアー」情報などを職員向けに提供し、ボランティアへの参加を促してまいります。 今後とも、多くの職員がボランティア活動に積極的に参加できるよう働きかけてまいります。

答弁者:都市整備部長

 (6)「被災者の住宅対策」についてお答えを申し上げます。 県では震災発生後、本県に避難された方々に、いち早く県営住宅などの公的住宅を提供してまいりました。 今回の民間賃貸住宅の提供につきましては、追加の支援策として被災県からの要請に基づき、災害救助法に基づく応急仮設住宅として、借上げ条件を設定して実施するものでございます。 この住宅支援は、住宅を失った方と原子力発電所事故により避難指示等を受けた方を対象とするもので、ご議決をいただきましたなら、速やかに実施いたします。 新たな自主避難者につきましては、今回の住宅提供の対象とはなりませんが、セーフティネットとして、国家公務員住宅を提供して対応してまいります。 次に、今回の住宅支援を3年くらいの中期的な支援にしてはどうかでございます。 福島県を始め被災県では、避難者に対して応急仮設住宅の建設や民間賃貸住宅の提供など様々な生活再建に向けた取組みが進んでおります。 しかしながら、原発問題の見通しが立たない中、態度を決めかねておられる方も多いのではないかと存じます。 本県では、定住を含め県内に長期滞在を希望される方に対し、相談窓口を設けて就業や就学を含めた総合的な支援を行っております。 中期的な支援につきましては、原発の動向を注視し、被災県や避難者の方々の意向を尊重しながら、その対応を検討してまいります。

答弁者:危機管理防災部長

次に(7)「県内被災者への支援について」、お答えを申し上げます。 今回の震災では、県内でも久喜市や加須市など、液状化による被害が広範囲の地域で発生しました。 液状化で住宅被害にあわれた方々にとって、住宅の再建が最も重要で、被災世帯の生活再建を支援する被災者生活再建支援制度の適用が望まれます。 しかし、現行制度は市町村の全壊戸数により適用するかどうか判断することになっています。 液状化被害による住宅は、傾きやもぐり込みは生じるものの建物全体に大きな損壊が生じないため、全壊の認定を受けにくく、この制度の適用が受けられないのが現状です。 一方、液状化による被害は地盤改良に多額の費用がかかることなどから被害の実態にあった支援が必要です。 このため、県では、国に対して、被災者生活再建支援法と施行令を改正し、適用要件の緩和と支援内容の拡充を図るとともに、液状化被害の実態にあった新たな支援制度の創設を要望しています。 今後も、引き続き、粘り強く、国に対して制度改正等を要望してまいります。

答弁者:教育長

 (8)「被災した児童・生徒の学習の遅れ対策」について、お答えを申し上げます。 被災地域では、学校の授業の再開が遅れた状況もございます。 一方、本県では通常に授業が行われており、6月16日現在、県内の小中学校で985人の被災した子どもたちが学習しております。 本県では、どの子どもにも、基礎的・基本的な力が身に付くよう、「教育に関する3つの達成目標」に取り組んでおります。 学校では、学習の遅れがないよう、放課後の時間等を利用して個別の学習支援を行ったり、長期休業中に補習的学習なども行っており、学習塾と連携した学習支援は考えておりません。 今後とも、市町村教育委員会と連携を密にし、学習の遅れが生じないよう、きめ細やかな指導に努めてまいります。