特別支援学校高等部のあり方における「埼玉モデル」創設を

12月8日 埼玉新聞

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(1) 特別支援学校高等部は、他の高等学校と同じ授業時間等とし、卒業後の就労に備えを

(2) 新設特別支援学校と、既存支援学校との格差是正を

質問 中川 浩

少子化の現在、本来なら特別支援学校入学者も減少するはずですが、生徒数と逆行し増加の一途をたどっており、平成9年と比べて7割増えています。昨年度公立高校の入試倍率は、特別支援学校であるさいたま桜高等学園が最も高く、倍率は1.83倍です。普通高校の平均倍率は1.16で、例えば浦和高校は1.29、受験を行っている特別支援学校の平均倍率は1.79といった状況です。
 ここで押さえなければならないポイントは、特別支援学校は選択が二択しかないということであります。すなわち新設校がだめなら、学区のたった一つの支援学校に行くしかなくなります。支援学校の倍率がこれだけ高いことに対し、早期に特別支援学校高等部の在り方を変えていかなければならないと考えます。
 主に軽度を対象とした支援学校は、近年新設されたものが限られた地域に数校あるだけです。その数校に入学希望者が集中し、受験をあきらめたり不合格者も出ています。そして、不合格者は受けたい教育を受けることができない状況になっているのです。これだけ新設校への入学希望者が多いのであれば、従来よりある既存校にも支援新設校で行っている特別支援学校教育を取り入れるべきであると考えます。
 具体的な大まかな事項といたしましては、基本的に全日制普通高校と同じ授業時間とし、卒業後の就労時間体制を整えます。言いかえれば、今の特別支援学校はバスの帰りの時間が例えば2時とかで終わりで、授業がそこで打ち切られて部活動にも出られないような状況であります。また、将来の自立を考え、自主通学できる生徒は自主通学を基本とするため、スクールバスが最寄り駅に立ち寄り、電車通学しやすい形をつくります。言い方を変えますと、駅の近くになかなか特別支援学校がないので、また、最寄り駅に現在の特別支援学校のスクールバスが必ずしも通っていないという課題があります。
 そして、完全能力別クラス分けをしていただきたいと思います。教員が指導しやすくなり、そして何よりも重度の生徒に多くの教員が配置できます。個の能力を最大限に伸ばし、その個人に適した就職のあっせんができるよう、特別支援学校高等部を根本から生徒が望むものにしていただきたいと思います。これが全国初の埼玉モデルの提案であります。
 普通科高校で学ぶべき生徒は普通科で学び、支援学校を選択した生徒は、障害等により個人に応じた高度な教育が受けられるよう26年度から実施に向けていただきたいと考えますが、教育長のお考えをお聞かせください。


答弁者:前島富雄 教育長

(1)「特別支援学校高等部は、他の高等学校と同じ授業時間等とし、卒業後の就労に備えを」と(2)「新設特別支援学校と、既存支援学校との格差是正を」は、内容が関連しておりますので、一括してお答えを申し上げます。
 特別支援学校の教育課程につきましては、各学校が学習指導要領に基づき、児童生徒の実態、保護者の願い、地域の特色、施設設備などを踏まえて編成しております。
 新しく設置いたしました高等学園等においては、職業教育に重点を置いた教育課程を編成・実施し、軽度知的障害の生徒が就労に向けての力を伸ばせるよう取り組んでおります。
 一方、既存の特別支援学校においても、授業時間の延長、スクールバス時差便の導入、作業学習の設定、部活動の充実など、軽度知的障害の生徒の実態に合わせた取組を、ここ数年多くの学校で取り入れてきております。
 さらに、一部の学校では、企業や官公庁と連携し、長期にわたって継続的に、週の1日を校外における実習日として、卒業後の就労形態に近づけた実践的な就業体験を試行的に実施しております。
 また、個々の生徒の状況に応じて、職業生活に必要な実践的能力の習得を中心とした教育課程の準備を進めている学校もございます。
 県といたしましては、高等学園等の新しい教育課程やその成果について、また、既存の特別支援学校の先進的な取組について、県内全ての特別支援学校に対し、モデルとして示してまいります。
 併せて、こうしたモデルを踏まえ、各学校が改めて教育課程を検証し、児童生徒がそれぞれの持てる能力を最大限に発揮できるよう努めてまいります。


再質問 中川 浩

現在、今新設校が、新設校という言い方が正しいかどうか分かりませんが、埼玉さくらをはじめとした新しくできた、特にモデル校についてモデルであるということを周知していくような御答弁だったかと思うんですが、結果として多くの支援学校はそうなっていくというふうな計画性があるのでしょうかというふうな確認のご答弁をいただきたいと思います。


答弁者:前島富雄 教育長

先ほど申し上げましたように、各学校の教育課程は、それぞれの学校の実態、生徒の状況、施設の状況、あるいは親の願い等を考えながら作成します。
 先ほどお話しにあった、先進的なモデル校のモデルとして進んでいる内容を各学校にお示しします。お示しして、その内容とそれぞれの学校が今まで独自の教育課程でやってきたものとを付き合わせながら、またその内容を検証しながら、進めていくのがよろしいかと思います。
 ですから、それぞれの学校が、これは取り入れようと、これはこうした方がいいと、それぞれの段階がありますから、こういう生徒にはこれがいいだろうというのを、それぞれのモデルを参考にしながら取り組んでいく、これが一番いい方法だと考えております。

 

埼玉新聞が1面トップで伝えた『普通高校よりも、倍率が高い特別支援学校』(1月30日)

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私が質問して以降の新聞記事。平成25年1月18日 埼玉新聞

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