2009年1月16日の活動

会津若松市視察(狭山市も財政難のため私費で視察)。
 視察テーマ:議会改革について。
 3時間半ご説明頂いた会津若松市の3人の議員さんに感謝(突っ込んだ質問にも丁寧にお答え下さいました)。大変勉強になり、早速活かしていきます(私費での視察は報告書を作成する必要は無いのですが、大変参考になったので以下に記載、ご説明頂いた原文のまま)。

【会津若松市議会 視察報告】
 議会主催の市民意見交換会で、市民から「議員は、市民の3倍の報酬に足るだけの仕事をしているのか!?」と厳しい質問が次々飛び出し、口ごもる議員が目立ったとの事・・・。

<改革の背景>
 市当局はやりたいようにやる。市はこれまでは議会の半分に太いパイプを持てば良かった。役所任せにはさせない。
 議員が勉強しないでは、市民との意見交換会は臨めない。
 一般質問・会派の要望書は言いっぱなし。実現させる所までいかなかった。
 議員の間で議論は総論賛成・各論反対。
 議長・委員長を決めるのにはこれまで何時間もかかり、「議長・委員長だからえらい」と言われていた。「何でなったの?」と聞いても「分かりません」との返答だった。そこで、議長の所信表明制を導入。“議会の合意形成”へ。議会制度検討委員会(議会基本条例は念頭に無かった)。

1、議会基本条例
 議会基本条例が無くても、これらの活動は、議会運営委員会や常任委員会の判断で出来る。合議体としての議会をつくっていく為には、議論を活発に、議論をしやすいようにする。
 多数決の意見を集約しなければ、市長に太刀打ち出来ない。市長「参考にさせて頂きます」→後は何にもならない。議会として政策を実現させる。
 ルールを決めないと「(議員)そこまでやる必要ない」になってしまう。
 市長の考えるまちづくりと議会が考えるまちづくりの両方が必要。
 市長がよく分からない事やって、後は知らない→後に残るのは住民負担。それではダメ。声の大きい・有力者のまちづくりでは無くす。
 市長が自治基本条例をつくるといいようにつくられるので、議会がつくったほうがいい。
 総合計画を市民とつくっても、実行の段階(実施計画)も市民とつくるべき。
 基本条例ありきでなく、あってこそ進む。

<昨年6月 議会基本条例制定>
 第4条「議員は、議会活動を行うにあたり、会派を結成するものとする」合議帯としてまとまっていきたいと言う意思。
 8条「議会は、議決(市から提案された予算・条例を承認)した時は、市民に説明する責務を有する」この責務を果たしている所は、当市(会津若松)も含めほとんど無いのではないか。
 9条4項「議会は市長が提案する重要な政策については、議会審議を通じて政策水準の一層の向上を図る為、市長に対し、必要な情報を明らかにするよう求める」 栗山町議会では議会として重要な政策とは何かを具体的に明記している。
 地方自治法180条 議会委任 ひとつもない 旧村の時はやっていた。

2、議会主催の市民との意見交換会
 「必要ない。俺は常にまちの声を聞いている」と言う長老議員もいた。市民との公式チャンネルを構築する。
 基本条例制定70市町村あるうち意見交換会をやっている所は11くらいしかない。自治体議会の力をつける為必要だ。
 市議会広報“広聴”委員会、意見交換会の企画・立案。
 会津若松市議会広報11月号(市民意見交換会・議会政策討論会の内容、議員報酬のあり方を掲載)。

<意見交換会>
 小学校区15箇所で全て同じ事をやる。
 実施時期 5・10月(昨年は8・2月で今年から定例化)5月は予算、10月は決算審査がそれぞれ終わったところなので、その事について市民に説明。
 市長に市民要望を届けて終わりでは“メッセンジャーボーイ”になってしまう→各班 電子データで意見交換会の結果を議会に報告(議会全体の政策情報として文書にする)。班は市民への説明を自己完結する(そうしないと次に行った班が市民から怒られる)。
 市民との意見交換会だから、議員が住んでいる地域以外でも行って話が聞ける。議員任期4年の間に15箇所全て回れる(ローテーション)。1人1人の議員の考えを市民が分かる。

<地区別 常任委員会別>
 議員が資料作成以外全部やる。日程は自治会長と相談(広報議会11月号6ページ)。
 財源・期間示されない。それでいいのか?

 意見交換会では、議員は個人的見解を述べない。市民が議員個人見解を聞きたい時は会が終ってから聞く。あるいは議員個人の報告会で話す。主旨は市民の意見をお聞きする姿勢。
 メンバー構成 4委員会 担当委員が答える。分からない時は全員で「すみません。分かりません」と分からないフリをしない。会を重ねていくと問答集が出来て来る。
 (広報議会11月号7ページ)議員間討論、議案の論点、質問を取りまとめて代表して質疑する議員名を掲載。
 市民から「林道の調査もしないで予算を承認したのか?」と言われ→議員で調査→国の補助金でやる事になった事、やる業者が限られていた問題点が判明。
 昨年8月のテーマである水道事業の民間委託について、市民からの質問があった。意見交換会を10月に開催。議会全体会のテーマにした。議員「事前審査にあたるのではないか?」→審議会でやっている事なので問題無し→2月、学識経験者である大学教授の講演を議場で、市民・市当局も呼び、議員同士で討論。

<分野別・特定テーマ>
 例:道路など建設・都市計画に関すること→第4分科会
 幼稚園・保育所連合会の二派の議員が出た事も。
 障害者連合帯だけでなく、障害者団体の中の1団体とも意見交換。

議会内での政策討論会
 「やる必要ない。やらなくても政党支持だけで当選する」と言う議員もいた。
 3部構成:①議会全体②議会制度検討委員会③4分科会(常任委員会)
 本当は常任委員会の所管事務調査で出来る。

<政策形成サイクル>
 “問題発見”を市民意見交換会で出来る。市民・議員の意見を聞きっぱなしでなく、意見の論点整理をする。10のテーマの中に入れていく(入らなければ新たに作る)。議会の正式な情報に位置付け。
 ・持続可能な地域社会(テーマが大きい)→問題分析(検討可能なテーマに)。
 ・財政分析→意見交換会で中間報告。
 ・議会内で政策立案まで行けば、パブリックコメントを実施。
 ・政策執行の監視も。

<二元代表制>
 ただ市長批判するだけでは変わらない。今まで「国が悪い」などと言っていたが、“ゴーサイン出したのは、議会=責任放棄”。なぜを批判するのか、市民との意見交換会で話す。議会の素案も出す。

3、市から出される議案の事前審査(6ページに記載)
 半年後に議案出て来る事を予測。議員同士で議論=事前審査する。
 今年6月に地方自治法改正 事前の協議調整の場として位置づけ。予習する場。改正されたのなら、やらなければならない。全国市議会議長会でも議論に。

<議会基本条例12条2>
 「議会は、本会議及び委員会において、議案の審議及び審査に当たり結論を出す場合にあっては、合意形成に向けて議員相互間の議論を尽くすよう努めるものとする。」

<議案の議決の前提として>
 議案配布1~2週間前に庁内を回って、どんな議案出るか聞き取りを行う。
 内示会(議案配布日)以降、審査準備する意識がある。
 (広報8月7ページ)議案内示後すぐに分科会(常任委員会)を開く。
 市当局は退席させ、議員が分からない事も言えるようにする。
 (9月議会)9月3日 委員会事前打ち合わせ。
 9月10、11日 委員会審査。
 「数字は聞くな」と総括後、各会派で注意。調査研究して臨む。
 1ヶ月前に議員間で重複しそうな質問を調整。政策課題を議論する。
 論点抽出、委員会対市当局 委員の重層的質疑を役割分担して行う。
 これまで“ただ出席していた議員”も変わった。

<議会広報11月7ページ> 財政調整基金のあり方
 議案前に財政分析の勉強会を開催→市は自転車操業状態なのが分かる→市当局に確認「基金をなぜ最初から必要なだ
け積まないのか?」。総務委員会の総意で付帯決議(8ページに記載)。
 市民に議会が何やっているか分からないと思われている中、説明したら、苦情が無かった。
 具体例:農業用水=農薬入っている。急速ろ過は、職員の勘では民間に出来るのか?大手企業が独占するのでは?水が余っている。将来の水需要がどうなるのか、予測は本当にそれでいいのか?3月議会の常任委員会では、このテーマで8時間議論、一般質問も行われた。
 「市民の民意をどのように反映したのか?」→市広報で2回発行。
 議決後、チェックも必要。5月の意見交換会で報告。
 水道事業のレベルが上がった(マニュフェスト大賞にノミネート)。
 今後も大きな課題があった時は議会も市民にお話しする。
 マスコミで報道→市民からの陳情につながる。まち全体の議論に。

8月テーマ:議員定数と報酬<議会広報11月号2~4ページ>
 議員報酬の算定3方式。不動産鑑定の方式を参考にした。収益方式は実際には導入出来ないが、考え方として掲載した。成果=収益として。
 5つの全体最適性。地域の経済力=議会費総額としての関係。
 6月最終報告。
 矢祭町の取り組み:議員の仕事を明らかにしたので意義ある。
 日当制を試算し、報酬から議員活動日数モデルを想定。
 185日分(1日8時間換算)1400時間(移動時間関係なく)。
 矢祭町の議員報酬は、町の課長職員(町村には部長はいない)の給与を日当換算(4万3千円)し、議員は非常勤である事から7掛けして、3万円とした。
 会津若松市の部長の日当換算は4万1千円であるので、議員の活動日数185日を掛けて、758万5千円とした。
 常任委員会の委員が重複してもいい規定について議会運営委員会で議論中。
 議会・議員のあり方 はたして市民に分かって頂けるかと思っていたが、市民は知りたがっていた。改選前にひとつの方向性を出す。

<議会内部の質>
 通年議会がいいのか、定例会のあり方検討。1日では厳しい。

<議長を通じた政策提言>
 市長のフリーハンド。与党会派のみでは無視されるが、無視出来なくなる。
 第3セクターはどうなっているのか。第3セクターはどんどん広がっていく。何が一番ふさわしいのか常任委員会で議論。

<議会本会議ビデオの貸し出し>
 本会議をビデオテープに録画収録し、市民に貸し出しているとの事(狭山市議会ではビデオ録画しているが貸し出しを行っていない)。

以上。視察報告でした。

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国の財政が破綻するのは、もう間近だと15日のNHKの報道で感じました(『国家財政破綻』のページに詳しく)。