2012年6月8日の活動

松下政経塾、シンポジウム(都内)。

 

宮城県知事に震災がれきについて個人的に聞きました。
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宮城県知事 村井嘉浩氏、講演「震災から1年 宮城県の復旧・復興の取り組み」(以下)。
 栗原市は4年前被災したが、今回その教訓が活かされ、どなたも亡くならなかった。
 地震対策はほぼ完璧だったが、津波対策は充分でなかった。沿岸部の道が全部やられてしまう事を想定していなかった。橋は横の力に弱い。くしの歯のように津波の被災地に物資を運んだ。道路を早く通す事が必要。
 全国被害の6割が宮城県で、全壊8万4千戸、半壊14万7千戸。ちなみに22年度の住宅着工件数は宮城県1万2千戸、全国82万戸。
 建物被害5兆233億円で、個人資産は建物被害額の中に入っていない。
 県予算1兆円(特別会計含め)。
 コンテナは機密性が高く、津波でアメリカ沖まで、バイクのハーレーを積んだものが流されたと報道された。
 震災時、通信全く途絶えた。役場ごと流された所には、衛星携帯を運んだ。
 私の携帯は防災携帯に指定されていたが、3日間全く通じなかった。ピッチは有効だった。ウィルコムから一銭ももらっては、いないが(笑)。
 製油所18箇所のうち、7箇所が被災。16日に電話でガソリンスタンド702店舗に確認したが、電話に出たのは45、営業していたのは12、一般車両に販売していたのは4店舗だけだった。タンクローリー車も被災。ドラム缶でガソリンを運んだ。震災10日後に塩釜港に小さなタンカーを入れられた。
 3月14日が避難者のピークで32万人。避難所にいない人の食料が底をつき、店舗に2千人が並んだ。食料品の倉庫が津波で流された。蛋白源・野菜の確保も必要。
 震災時、他県に何をして欲しいか、何が欲しいか言われたが、それさえ分からなかった。役割分担が平時出来ていれば。
 東京に首都高がある事はメリット。首都高のそばに備品を確保しておく事は有効。震災時、一般道は全く動かなくなるので。

 震災がれきについて。1800万トン。震災がれきの7割が宮城県。岩手県の4倍、福島県の8倍。
 あと1年半で処理出来ればと思うが、一部にデリケートな方がおられる。
 がれきは、このままでは夏場にハエがわき、火災が起こる。皆様にはご協力をお願いしたい。
 
 ご遺体の収容は、1日に1080体の収容が結果としてピークだったが、その日がピークなのか分からない状態だった。
 2100体を土葬。11月19日に土葬した遺体の火葬が終了した。
 遺体安置場所は最大24か所(3月20日)。東京都に860体など県外に火葬協力依頼。

 遺体が千体以上発生する想定をした訓練が必要。
 放射能については、東北大の協力を得て、調査した。女川原発があったが、計測機械が流され、調査出来ず。
 農産物は全て調査しているので、安心して頂きたい。
 教訓としては、女川原発事故しか想定してなかった。
 もし今回の震災が、雪が降る真夜中に起きていたら、犠牲者は3・4倍だったかも知れない。
 震災復興計画について、阪神大震災当時の兵庫県知事に聞いた。「当時兵庫県は、元に戻す復旧しかさせてもらえず、復興後、神戸港に船は戻って来ず、海外に行ってしまった。あの時、10年先を見据えた港づくりが出来れば」。復興は再構築。

復興計画のポイント。
 復興住宅は全戸で太陽光発電。スマートグリッド・コージェネレーションによる先進的な地域づくり。スマートシティの実証実験は全世界で300地域行われているが、人口が減少している地域では少ない。
 水産加工は全国3位だった。就業者は毎年3%減(全国年1万人が減)、50才以上が就業者の73%を占める。震災後、就業者の30%が辞めたいと言った。漁業の民間参入を。養殖を事業として行える優先順位が決まっており、漁協にぶら下がらなければ出来ない。販路構築出来ず、手数料を払わなければ出来ないので、特区を申請したい。
 142港全てを戻すのではなく、5港を拠点に位置づけた。
 漁協からは大変厳しい反発を受けているが、何とかやりたい。来年9月が漁業権の見直しの時期。農業ではかなり進んでいるので、漁業も。
 宮城県の米は全国7位、肉用牛は全国8位。集約化を図る。国と実証実験をやる事に。生産コスト5割削減、収益2割増。TPPの話も出ているが。
 ものづくり産業。第3次産業8割(79.8%)。東北に支店をつくる時、まず宮城(仙台)につくられる。今後は支店が減る。製造業のウェイトを高めようと。

今なぜ“道州制”か。
 被災者の皆さんからすると対応が遅かった。中央政府の怠慢だとは考えていない。
 国の平時からの負担が重過ぎる。国は3月12日の段階でも震災以外の道路などの整備に追われていた。大規模災害に機敏な対応が出来るように、ぜひとも道州制を。道や州程度での管理を。
 自治立法権の制約。法律の範囲内でしか自治体の条例は作る事が出来ないが、例えば、議会の招集権者は地方自治法で定められているから、議長の招集では出来ない。国の立法機関と書かれているので、憲法改正も必要に。
 地域の実情に応じた保育所整備をしたくても、全国一律の設置基準。
 自治財政権は、3割自治。
 国から地方に来る金は、人口・面積が同じだと基準財政需要額は同じ。あまり努力しなくても、差があまりない。税収が倍になっても、税収増の1/4しか地方は増えない。「企業誘致を一生懸命やっても、あまりプラスになりませんよ」という発想に公務員はなってしまう。
 国庫補助金の問題点は、地方が5%の現金、27.5%の借金負担で100億円の事業が出来、国のリードで、優先されない事業が出来てしまう。大型案件になればなるほど、県独自の実行が難しい。中央集権体制は限界で、新しい仕組みを。
 道州制になれば、省庁が無くなるので、大改革になる。国会議員の本来の仕事が出来るようになる。それで、国に陳情を行くようなら、改革は失敗。
 制度設計。①規模②仕組みの改革が必要。
 道州間で競争原理が働くようになる。東北には空港9つある(新潟含めると11)。同州単位になれば集約出来る。研究所、水産系10箇所、農業9箇所、林業5、工業8箇所。
 経済同友会は道州制になれば5兆円財源が生まれると言っている。省庁の改革では、あまり変わらない。
 米国デラウェア州は、消費税ゼロ。
 何らかの財政調整制度の創設が必要。
 今は国依存症。
 課題は、2院政。国民議論の喚起が何より必要。
 道州制は、明治維新以来の“国家のフルモデルチェンジ”。
 道州制が導入されれば、私は失職だが、構わない。
 私心を捨て去る事が出来るか。(以上、宮城県知事講演)。

茨城県高萩市長 草間吉夫氏。
 東日本大震災での被害11道県、271市町村。
 茨城県18万2千棟、津波よりも地震被害が大きかった。
 避難者4845人 人口の16%避難。
 地震の時私はパニックになった。災害後FM、ツイッターを立ち上げた。
 災害協定を結んでいたが、機能しなかった。全国資本の場合、現場の店長に決定権が無い。もう1度結び直し。責任者に協定を履行してもらう。
 民主党政権、機能麻痺だった。
 避難所の指定はあまり多くしないほうがいい。
 
佐賀県多久市長 横尾俊彦氏。
 災害時の広域圏の取り組みで、佐賀県は気仙沼市を中心に動く担当だった。現地の職員から情報が市に入った。日頃から交流しているほうがいい。
 人的派遣、全国市長会でマッチング。それぞれの市は何が出来るかネットで公開。
 港湾整備・財政・保健師など現在でも足らない所がまだある。1年で消化できない程の予算。
 震災翌日、消防庁長官経験者に聞いたら、1週間後、1ヵ月後必要になる物まで言われた。人材の活用は重要だ。いつでも、どんな事でも聞ける人脈が必要。
 防災士の資格も大事。
 災害時、市職員は半分は来ない。多分1/3だろうと言われていたが、実際そうだった。
 
講演終了後、宮城県知事に、震災がれきについて、個人的に更にお話を伺いました。
県庁に戻り、県議と意見交換(終電で帰宅。日本代表戦帰りの方が多かったです)。