教育  ①公立高校入試問題の改革を(勉強が苦手な生徒もやる気が出るように)

平成26年2月27日 県議会、一般質問

2.教育
①公立高校入試問題の改革を(勉強が苦手な生徒もやる気が出るように)

質問 中川 浩

このテーマは、浅野目議員も昨年6月に質問し、問題点を指摘されています。
 中学生が受ける模擬試験は、過去の高校入試問題を参考に行なわれ、結果としてその偏差値により、生徒本人は志望校を選びます。
(私立は、学校によって試験が違います)
しかし、埼玉では、県立高校入試問題とそれに付随する模擬試験は、1種類な為、仮に全てを簡単な問題にしてしまうと、進学校では100点が続出して、差が付かなくなるので、県立高校入試は、進学校の高いレベルに合わされています。
基礎問題は、現在の県立の入試には少ししか出ません。
たとえば英語は長文問題もあります。
昨年の県立高校入試の平均点は、275.5点。
500点満点中、一番多いのは、210点台で、これでは「出来た」という実感は湧きません。
例えば数学の平均点は、42.4点。
数学の点数が、10点以下だった生徒が、全日制だけで約1080人。20点以下が11%、5080人もいます。受験した10人に1人は20点以下という事です。
生徒にとって、生まれて15年生きた集大成が、高校入試です。
しかし、勉強が苦手な生徒は、中学校でのテスト結果を親に見せるのが嫌なばかりか、入試に出る出来ない問題を中学の授業で出されるので、(客観的に見れば)試験日までに出来るようにならないのに、あれもやらなきゃ、これもやらなきゃとパニックになるか、出来ない分野は捨てる“消去法”の受験勉強になります。
入試で10点以下、20点以下の生徒は、目標を中々見い出せず、「倍率が低い所でいいや」と勉強しがいがなく、私立(高校)に受験生が流れます。
また、県立を受けても、合格できる確信は持てず、合格後も、何で受かったのか首をかしげ、「あまり出来なくても受かった」と思い、勉強意欲がそがれ、高校生活、引いては「どうせ俺なんか」と人生にサジを投げ始めます。
 高校等進学率は98.8%で、入試で10点しか取れなかった生徒の困難校での苦労は計り知れませんし、中退者予備軍と言っても過言ではないと思います。なお、中途退学者は23年度2374人おりました。(公立高校を目指す子供達の中でも、家庭の格差の問題が降りかかっています)
 埼玉県立高校では、入試問題が1種類なので、トップの一握りの生徒に合わされ、数学で90点以上は県立受験者4万7千人中、わずか90人です。
しかし、東京都では既に、13年前から問題が複数になり、現在、進学指導重点校等15校が独自の問題で実施しています。
 大阪・北海道など、私が知っているだけで5つの県では、高校が入学試験問題を選べる方式です。
生徒の入試への学習意欲が失われない為に、挑戦のしがいのある入試にして頂きたいと願いますし、来週3日には県立入試が行われますが、改革の検討に何年もかけていると、毎年5千人規模の子供達が同じ目にあうので、モデル的に実施するなど、早く実現して頂きたい重要な問題です。
(入試改革をする事で、公立高校の底上。公立離れを止められればと思っています)
 現在県内で勉強が苦手な生徒が入試に困っている現状の認識と、他県の取り組みについて、どのように評価されているか?そして、県立入試を、たとえば進学校用の問題と、一般的な学校用で、入試問題を分けて頂きたいと考えますが、教育長のお考えをお聞かせ下さい。


答弁者:教育長

「教育」の(1)「公立高校入試問題の改革を」についてお答えを申し上げます。
まず、「現在県内で勉強が苦手な生徒が入試に困っている現状の認識と他県の取組についてどのように評価されているか」についてでございます。
議員お話のとおり、平成25年度学力検査教科別得点分布をみると、数学では100点満点で平均点42.4点のところ、20点以下の受検生が1割以上おります。
それらの受検生の解答状況をみると、頑張って取り組んではいるものの、基礎的な四則計算や方程式ぐらいまでしか得点に結びついておりません。
勉強が苦手な生徒が少なからずいるものと認識しております。
また、他県の入試問題の状況について調査したところ、例えば秋田県のように選択問題を導入したり、東京都では自校作成問題を何校かで使用しております。
このような都県では、それぞれの教育委員会が、地域の実情や受検生の状況を踏まえ、学力検査を実施しているものと考えております。
次に、「入試問題を分けることについて」でございます。
高校入試は、中学生にとって中学校で3年間勉強してきたことの集大成であり、一人一人の学力を伸ばす為の大きな目標となります。
また、高校入試における学力検査問題は、受検生の持つ学力を測定するものであると共に、各高校の入学者を選抜する為の重要な資料となるものです。
更に、高校入試は中学校の教育に大きな影響を及ぼしますので、他県の取組も参考に、検討していく必要があります。
県と致しましては、現在の学力検査の結果をよく分析し、課題を明らかにした上で、受検生が最後まであきらめずに取り組めるような入試問題の作成の在り方について研究してまいります。


再質問 中川 浩

 東京都や他県の例を出されたが、教育長はどのような形が望ましいと 思っているのか。また、どういうスケジュール感で行っていかれるのか、教育長に伺います。


答弁者:教育長

ご質問は、高校入試改革をどういうスケジュール感で行っていくのかという事かと思います。
本県では、平成22年度入試から推薦入試を無くしまして、全員に学力検査を課す方式に変えました。
また、平成24年度入試から、前後期2回あった入試を1本化しました。
全員が5教科を受けるという試験を実施しています。
この入試制度改革により、中学生の学力向上に非常に資するという事で、高い評価を得ている状況があります。
高校入試は中学校の教育に大きな影響を及ぼしますので、慎重に検討していく必要があると考えております。
このように改革を進めてきておりますので、そういった意味で慎重を期する必要があると思います。
しかし、議員お話のように、科目ごとの平均点の違いとか、正答率の違いに課題があるという事については事実ですので、今までの流れにとらわれずに、柔軟に考えなくてはいけないというふうにもとらえております。
今後、他県の入試の問題を更に調査を進めると共に、勉強が苦手な生徒のやる気が出るような入試問題の作成の在り方について、研究してまいりたいと思います。


再々質問 中川 浩

 教育長はどのような形が望ましいと思っているのか、スケジュール感と共に改めて教育長の考えを伺います。


答弁者:教育長

先程も申し上げましたが、早急に本格的な分析や調査に着手し、受検生が最後まであきらめずに取り組めるような入試問題の作成の在り方について研究を進めてまいります。