2011年8月25日の活動

日帰りで、静岡県庁。危機管理部防災担当理事。静岡県の防災対策について伺いました。
 1854年の東海・東南海連続地震以降、大地震が起きていない。
 駿河湾をはさむ東西方向が毎年1㎝縮んでいる(掛川市を基準とした御前崎市の沈下量グラフ)。震災時は、それが2m隆起する予測。
 被害想定 震度6弱以上。死者5800人(新幹線や高速道路上の死者想定は含まれていない)。
 家屋被害75万棟。庁舎そのものがつぶれる可能性のある所も。災害時どこの市町村から連絡が入っていないかすぐ分かるシステムになっている。
 死者数半減を27年度末までに達成するアクションプログラム2006(死者数1877人減目標)。倒壊家屋対策 現在9割の進捗。2001年までの計画で死者数1020人減達成。
 耐震化促進計画18年度に調査した段階では一般家屋61%達成。今年度調査中。
 (私が埼玉県議会で6月に質問した)市町村の消防力を高める為の静岡県として財政支援について質問させて頂いたところ、大規模地震対策等総合支援事業費補助金制度を平成7年に創設しており、事業開始時は年間予算30億円、現在23億円。何にでも使える。最大1/2補助、2千万円上限との事。『市町村が消防車を購入できる静岡県の補助金制度』
 津波対策 計画の9割の防潮堤は整備した。防潮扉が閉まる仮定での被害想定。
 原子力災害対策。ベントに基づく避難訓練を毎年行っているが、現在見直し中。
 原子力発電所の5重の壁が破られる事はこれまでの計画では想定されておらず、現在策定中。
 ベントにより、放射性プルーム(気塊、雲)が発生した際の静岡県の屋内退避基準1時間2ミリシーベルト。今日10時の静岡市内0.05マイクロシーベルト。
 10キロ圏をエマージェントプランニングゾーン(EPZ)にしていたが、人体には影響ないと見ていた。
 毎年4月に抜き打ちで職員参集訓練。結果、1時間以内に災害対策本部の会議が始められたが、道路が被害を受けていた訳ではない。
 災害対策本部は、2年に1度、本部人員が少人数しか集まれなかった場合を想定した訓練を行っている。
 自衛隊OBを7年前から雇用して(任期付。5年)、県と自衛隊との調整役に。
 自衛隊との打ち合わせ状況について質問したところ、どこの小中学校に自衛隊が拠点として配置され、そこは避難所として使えないと分かるように防災計画に載せて(P457)、地域には言ってあるとの事。
 自衛隊の拠点地点まで実際に行く実働訓練を今年は8割くらいの市町村で実施(受け入れ訓練)。施設の入口にこの施設は災害時何に使われるか看板を立てているとの事(後ほど写真を掲載します)。
 新型インフルエンザ・鳥インフルエンザなど全ての判断を知事が行うには不可能であると、2年前から災害対策本部のトップは危機管理幹にして、必要に応じて知事に報告する方式にした。
 防災無線はバックアップの電源・燃料を3日分、衛星系・地上系とも用意してある。
 東日本大震災の影響で今年は県民の関心が高く、訓練参加者が多い。焼津市民2万9千人参加。
 災害図上訓練DIG(映像)家庭編(冷蔵庫・ブロック塀倒れる)・町内会編。
 緊急輸送路確保対策について質問させて頂いた。伊豆半島そのものが孤立する可能性もあるとの事。
 広域受援計画。消火栓の接続金具のサイズが他県の消防隊によって合わない事がないように、規格を他県に伝えてある(規格がメーカー任せだった)。
 災害派遣医療チーム(Dmat)の計画は変更中。1チーム6人体制。ケガ人など629人を災害の域外に搬送する目標。
 トリアージの市民啓発について質問させて頂いた。防災研修会で説明しているとの事。
 防災研修、小中高校生対象 ふじのくにジュニア防災士講座。大学生講座。静岡大学主催の養成研修。主に子育て中の女性対象におしゃべり防災サロン。
 地図上で津波など被害想定を表示するGIS。
 加古川では、わざわざ防災訓練と称してやらずに、焼きそばパーティ。そのほうが参加しやすい。
 静岡県が考案した、避難所で起こる様々な出来事にどう対応していくかを模擬体験するゲーム、避難所HUG

 静岡に向かう道中も県議と防災対策について意見交換。川越市では建設業者がどんな重機を提供できるか会社前に張り出しているとの事。

衆議院議員会館。自衛隊による震災・原発事故対応、防衛大綱・中期防について。
 防衛省大臣官房参事官、防衛政策課長。
 震災後、北沢大臣の指示により、自衛隊で備蓄していた灯油燃料を集め、多賀城駐屯地・松島基地から被災地に送ったとの事。ガソリンの被災地への手配については、経済産業省が業者に送るように手配していたが、福島県に入りたくないという業者がいたので、自衛隊の車で運んだ。
 がれきの撤去については、がれきの下にご遺体があるかも知れないので、まず手作業で撤去し、ご遺体が無い事を確認した後、重機を使用した(今回の震災でがれきの撤去が遅れたと報道されていますが、これまでの災害では行方不明者はほとんどなく、対応が遅れた訳ではないと思います)。
 避難区域の自宅の状況が分からない方の為に、隊員が家の写真を撮って避難所に提供した。
 災害派遣は自衛隊法自体に位置付けられているが、復興になると民間の仕事になるとの事。
 私から「今後の災害に備える為、自衛隊と地方自治体が打ち合わせをする窓口はどこになるのか」質問し、「東北地方では、平素、3年前から実働演習も含めた『みちのくアラート』を行って来た事が、今回の震災で円滑に対応できた理由。埼玉県においても自衛隊基地があるので、そういう形が必要になるので、調査したい」との事でした(今後、話を進めて行きます。今日の静岡視察を早速活かす事が出来ました)。会議終了後も、防衛省運用企画局事態対処課長などとこのテーマについて話しました。都道府県によって災害に対する危機感が違い、それゆえに対応が遅れている所があるとの事でした。

中期防について。
 中国が空母を持った事の脅威、パワープロジェクションに対して、日本も空母を持とうというのではなく、空母が弱い潜水艦を多く整備する方針との事。


 今日静岡に行く際、大雨で新幹線が遅れているとの情報を移動途中の新宿駅で得られていましたが、東京駅に行ってみると「東京駅~品川駅間のみ運行している」となっていて、行ける目途が立ちませんでしたが、とりあえず行こうと判断し、新幹線に乗ったら、新幹線ダイヤは55分遅れでしたが、結果として私達は予定通り静岡に着きました。


静岡県庁前にあった災害時看板