2015年10月4日の活動

【湖の水を、そのまま飲んだ事、ありますか?】
 滋賀県前知事 嘉田さんから「琵琶湖の水を、湖岸に行って飲んでみて下さい」と言われ、飲みに行く(写真)。軟水でおいしかったです。(写真は、皆さん大学教授(^^))

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 嘉田さんの説明「昭和32年まで、川の水を飲んでいた集落もあった。昔は、家の排水を内湖(湖の手前にある池)に沈殿・浄化させてから、琵琶湖に流していた。おむつ洗い場は別。排水は農地還元し、肥料化。川は飲み水なので、一滴たりとも排水を流さない。清めの塩を流し、水の恩を送る水神信仰がある。
 堤防補修・管理を以前は村民が行い、村から日当が昭和30年代まで出た。自主管理の意識を取り戻そうと、治水条例を作った。
 住民の皆さんから直接その体験談を聞く中で、近代技術の機能的価値と自然の持つ『存在価値』に加え、人々の生活の中に生きるふれ合い価値、文化的価値について共有し、未来に受け継ぐ持続的な環境保全の知恵について考えて頂きたい。
 私は知事2期で、6つのダム建設中止・凍結した。
 ブラックバス、ブルーギルは毎年2千トン、漁師が取り上げ、肥料にしている。条例で定め、キャッチ&イート。リリースではない。ブラックバス用の回収箱もある」。
 滋賀県のHPには、琵琶湖がかたどられ『Mother Lake(母なる湖)』と書かれています。
 地域の事を、税金で業者が全ては、やらない時代が、そこまで来ていると最近感じています。
(嘉田さん編集の『水と人の環境史 琵琶湖報告書(1984年)』もあるようです)

嘉田さんは、琵琶湖のほとりに住んでおり、琵琶湖で歯を磨いている写真も見せてもらいました。

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【水の一番の問題は、イメージ】

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 滋賀県前知事 嘉田さん「琵琶湖のこの板を『橋板』と言い、平安の時代から、ここで、顔や野菜を洗ったり、大きいシーツを洗ったりしている。この地区に30本、橋板があった」。嘉田さんは、ここでも琵琶湖の水を我々に飲んでみせた。「砂なので、水を自然浄化する。大腸菌は不検出。5才の孫は、心配だと言う母親に『大腸菌不検出だから大丈夫だよ』と説明した」。
 嘉田さんは言う「水の一番の問題はイメージ。水の信頼回復に琵琶湖を使う。おいしいお茶を飲むのに、昔は琵琶湖に水をくみに来た。この地区は、国の『重要文化的遺産』に選定されたばかり(今年4月)。
 ここから原発まで20km」。
(高島市マキノ町海津。高島市は、『高島屋』デパートのもと)

嘉田さんが立っていた所と同じ場所のパンフレット。
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『生活者目線からたどる水と人の環境史〜生活環境主義発祥の琵琶湖畔村落を訪ねて〜』
 滋賀県 前知事 嘉田さんが1日案内、詳しく説明して下さいました。(以下、説明)
 「川が決壊した所に、住宅メーカーが『リバーサイド・ニュータウン』を作った。規制する条例が無かった。行政の不作為。メーカーはこの土地の歴史を知らない。新住民は、もっと知らない。
 明治時代に決壊し、水が3m70㎝、2階まで来た所にも家が建っている。住んでいる人も知らない。春にも昭和34年に洪水があった。雪洪水と言う。だから、知事として『流域治水条例』をつくった。特にそういう地区に福祉施設は作れない。
 明治39年に淀川治水計画で堰が出来、田んぼが出来た。昭和47年毎秒800t流せる工事。水位操作を人間の都合だけで考えず、魚の産卵も考え、緩慢にすべき。
 琵琶湖水辺再生法。京都は2億円を琵琶湖に税金を払っているが、それ以外は払っていないので、滋賀県は100億円を、葦代などに使っている。

一般家庭の『共同洗い場』。今でも使われている。
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【寿司の名前の由来と、自然の道具】
 琵琶湖のほとりで、鮒(ふな)寿司を270年以上作っている『魚治』7代目の方からお話を伺いました。
 「『お寿司』と言う名前は昔、乳酸菌の酸味の事を言っていた。乳酸菌により骨がやわらかくなり、お米もペースト状になり、骨も食べられるので栄養価が高い。江戸時代に酢が開発され、今のお寿司の意味で言うようになった。
 私どもは今でも鮒寿司を作る際、“木桶”を使う。プラスチック・ほうろうは便利だが、もしも万一石油が入らなくなり、プラスチックでの製法が出来なくなったら、伝統が途絶えてしまう。私どもは継承する事も1つの目標なので、それらは使わない」。
 “洋食”が多い食生活も見直したいと思いましたし、自然のもので作った道具の大切さも教わり、まだまだ学ばねばと思わせて頂きました。感謝。

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湧き出ている水を、すくって飲みました。
 山では皆さんあると思いますが、住宅地です。(^^)
【普段ペットボトルで飲んでいる生活が、豊かでは無い気がして来ます】

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 琵琶湖の地域では、水道が入る前、湖水・川水を飲んでいたのが2割だそうです(後は井戸水。600集落を調査)

高島市針江地区は、家の中に水が湧いている(家の外・敷地内に水が湧いている家も)。
 地下15mからの、ろ過された湧き水。
 「この水は、300年前の水かも」地元の方が案内して下さった。「山の地質では水が1年で7ミリしか動かない。この水でご飯を炊いたり、コーヒーを淹れたら、うまい

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 川端(かばた。写真)は、3層に分かれている。(写真右から)自家湧水があり、飲み水をくむ『元池』。野菜や鍋、顔などを洗う『壺池』。道沿いの水路へと合流する『端池(はたいけ)』と、湧水が三段式に流れ落ちるよう小さな堰(せき)が作られている。湧水の中には必ず鯉がいて(写真 赤いの)、水中の残飯や水路の汚れなどを食べて水を浄化してくれる。(この地区の鯉は、どれも大きいですが)鯉は食べない。
 この地区175世帯(人口650人)のうち、110件の家々に川端がある。うち3件は新たに出来た。こういう生活は、弥生時代から。世界でも珍しい」。

家の中に水が湧いているって言われてもイメージが湧かないと思ったので、
図面と普段使われている所の写真。
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他の家の川端。
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 「誰に言われなくても、川上の人は川下の人の為に水を汚さないよう、また下の人は上の人を信頼して、水を使います」。確かにこうして(写真。ポストのある所が川端)他の家と、つながってるもんなあ。

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 嘉田さんの説明「水道による“近代化”で、水道が入って『家の中が、しっける。貧乏くさい』と言うようになった。地域の意見は、必ず割れる。川端をつぶそうと言う人が大部分だった。
 世界の子供達に、この地区に泊まってもらったら『ここは水の天国。水源にゴミが無い。水道の維持管理が出来ている。ネパールにはそれが無い』と。集落の人は『うちの集落には何も無い』と言っていたが」。
 地元の会長さんは、「ここが原発で汚染されたら」と言われていました。
 地元のボランティアガイドさんの説明「水によって、人と人とがつながる。この水が太平洋にそそぎ、ペリリュー島、硫黄島につながり、台風の上昇気流で日本に戻って、比良山系に降る。良い事をすれば、私達にまた回って来る」。深い話です。

 

地面から水が湧き出ているのが、映像でお分かり頂けるかと思います。砂がポコポコしてます。繰り返しますが、住宅地です。(^^) 普段の生活の中で、湧き水なんて見ないですよね。(旅行先でなく) 自然の力は、すごい。現代人は、それを活かし切れていないような気がして来ます。(明るい所で携帯で撮ったので、どこが写っているか分からず、湧き出ている真ん中に、画面が行っていませんが。(^^;) 何とかお伝えしたくて、撮りました)

Posted by 中川 浩 on 2015年10月7日

 地面から水が湧き出ているのが、映像でお分かり頂けるかと思います。砂がポコポコしてます。繰り返しますが、住宅地です。(^^)
 普段の生活の中で、湧き水なんて見ないですよね。(旅行先でなく)
 自然の力は、すごい。現代人は、それを活かし切れていないような気がして来ます。

(明るい所で携帯で撮ったので、どこが写っているか分からず、湧き出ている真ん中に、画面が行っていませんが。(^^;) 何とかお伝えしたくて、撮りました)

 

こんなの楽しいに決まってますよね~
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『内湖』とは、川の水を使って生活をしていて、生活排水を湖に流す前にためる湖を言うそうです。

自分が住んでいる所の川、普段その水を飲んでいる川で、発泡スチロールのいかだで遊ぶ子供たち。
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 小さな鮎がたくさんいる(写真の細い線)のですが、ガラ携で撮ったから、ほとんど分からないですね。

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 地元の方のお話「年4回“住民総出”で、底ざらい(川掃除)をし、藻を取って、肥料化している」との事。作業は楽ではないと思いますが、たぶん『生活の中で、楽しみながら水と付き合っているのではないか』と、学びました。
 『生活文化』と資料に書いてあり、お邪魔して初めて言葉のイメージが出来ました。『生水』と書かれていたのも、気になりました(読み方は、しょうずだそうですが、水が生きている地域だなと思いました)。(『日本遺産』に登録)

 自分の住んでいる地区の小さな川で小水力発電(写真)をしたり、水車の電力で、灯篭の明かりが点いていました。
 う~ん。やりますね。

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【自然の『サラウンド』】
しょうずレストラン(&ホテル)内の地面には、川が流れています。
 この水の音や、波の音で「癒される」と感じるのは、自然のサラウンドだからなのではないでしょうか。
 お店の方によると「最初、全部ガラス張りで作ったのですが、嘉田さんの提案で、湧き出ている所(写真下の丸い所)は、ガラスを開けたほうがいいと言われ、『水の音がうるさいのではないか』と思っていたのですが、開けて良かったです」とおっしゃっていました。
 嘉田さんて、どこまでもやるんだなと改めて感心。

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葦(写真右)。
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 「琵琶湖のこのあたりでは、『あし』ではなく、『よし』と呼ぶ。葦を湖岸に植えるのは、葦がリン・チッソを吸収し、水質を良くするので、刈り取らなければならない。葦が生えている事で、魚の棲み家にもなる。2月に刈るのは、枯れてからの為。
 葦ぶき屋根は、近江の特徴だが今は、ふく人がいない。以前は、村人総出でふいた。1件の屋根に、葦を沢山使うので、葦を村中から集める」。
(滋賀県前県議 山田実さんが案内して下さいました)

【“幸せ”だと何によって感じます?“豊かさ”って何ですか?】
 お金をかけても中々満足感が得られなかったり、満足感が持続しなかったり。逆に、お金はほとんどかかっていないのにとっても幸せな気持ちになったり、満足感が持続した経験があると思います。
 どんな有名な観光地の旅行よりも、滋賀県高島市針江を中心とした琵琶湖に今回お邪魔して詳しくお話を伺い、「人間何によって『幸せ』と感じるか。何に『価値』を見出したらいいか。生活の豊かさとは何か」考えさせられました。単なる観光でそれを感じるのは、難しいですよね。また琵琶湖に伺って、更に学びたいと思いました。丸2日いたのに決してお話の内容が薄まらないどころか、衝撃が持続しました。
 生き方の根本的な所まで考えさせられる視察も中々、経験出来ませんし。特に、行政が行く場所を選定した“委員会視察”で、ここ以外の所に行っても、中々難しいと思います。
 針江地区を見学するには、ボランティアガイドさんの付き添いが、必須です。
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NHKスペシャル『里山 命めぐる水辺』ブルーレイを通販で買って見ました。
 (琵琶湖のほとりの)家の中の川端を使った生活(鯉が人間の食べかすを食べてる所)。鮒寿司の家庭での作り方(9カ月かかる)。葦の管理。集落総出の川掃除。子供の川遊び。琵琶湖に住む魚達の一生。水が自然の中でどうやってきれいになって行くかを紹介。ハイビジョンで画質が良く、水が生きているよう。楽しく見れました。
 撮影する目線が、例えばトンボ・魚の目線だったり(魚の気持ちを体験出来ます)、視覚的にも面白いです。
 生命って、きれいですね。
 (イタリア賞受賞。2004年作品)
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【私が飲んだ琵琶湖の水】
 「琵琶湖だから飲める。私の町ではムリ」と思考を止めてしまうのは、もったいない気がします。
 上高地、尾瀬、奥入瀬・・・たくさんの方が訪れるキレイな観光地は、日本にいくつもあります。でも旅行から帰って来て、なぜ私達は、自分の住んでいる所も、少しでもきれいにしようと思えないのでしょう。
 もしも東京湾が湖で、その“東京湾湖”からしか、私達の飲み水を取れないとしたら、私達が住んでいる関東は、もっと水を大事にしていると思います。そして、私達が住んでいるまちにある川も。
 私は、青年会議所の仲間と、いかだを手作りして入間川で、また田んぼで、地域の子供達と遊ぶイベントをやったりしました。遠くに行くのも楽しいですが、身近な自然と、個人でも生活してみませんか?そうする事で、豊かな生き方の発見が出来るかも知れないと思いました。
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 全国各地の博物館で、川・湖の水を使った昔の生活の写真や昔の道具の展示をいくつも見て来ましたが、「つまらない」と思ってしまうのが関の山。
 今回、針江を中心とした琵琶湖にお邪魔するまで、その『リアリティ・現実味』が無かったです。
 何とかしなきゃと、思わせて頂きました。

 琵琶湖周辺では住宅地の湧き水を飲むのにひしゃくを何度も使いましたが、普段の自分の生活でひしゃくはお寺に行った時しか使わない。

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【水道水を飲んでいますか?】
 私は、わりと水道水を飲むほうだと思います。(当社比)(^^)
 もし水道水がおいしかったら、①ペットボトルは結構買わないで済むのではないかと思います。②水でなく、『色・味』のついた飲み物を、今ほど飲まなくなると思います
 冷たくなくても、水がおいしければ水を飲むと思います。
 何か、ムダなような。それを何とか出来るような。

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 埼玉県は、高度浄化処理した水のペットボトルを作っています。水道の水に注目して頂くきっかけとして、活用を以前提案した事があります。

ペットボトル水「彩の水だより」

県内5つの市で作った水道水のペットボトル
 (朝霞市『深井戸天然水 朝霞の雫』。久喜市『安全でおいしい久喜の水』。戸田市『戸田の水来(みらい)』。新座市『新座の元気 森透水』。さいたま市『さいたまの水』。)

県内水道事業体製造の水道水ペットボトル

 

【『スロー・ライフ』って何でしょうか?】
 あくせくせず、ゆっくりとという意味のみに思いがちですが、自分が住んでいる所の自然を生かして楽しみながら暮らす事。自分の一番近くにあるものを大事にする事が、その意味なのではないかと思い始めました。
 都会に住む多くの人が、ペットボトルでなく、水道水を飲めるよう、県議会の担当委員(県土都市整備委員会)として、取り組んでいきます。道のりは、子供の時代までかかるほど長いかも知れませんが、砂が水を浄化するように、徐々にでも着実に、観光地のみならず、どこの場所でもホントは大切な自然を、引き継いでいきます。
 皆さんのご協力をお願いします。

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お金はあまりかからず、ぜいたくな時間。
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『自然を大切に』という看板は全国にたくさんありますが、

“住民総出”でここは実行されているので重みが違い、初めて看板を見て考えさせられました。
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行政がお金をかけて作った看板より地域の方が手書きした看板のほうが、重みと、読む気を誘いました。
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(夜7時帰宅)