持続可能で、安心できる県の財政システム

‐ 支出の中・長期見込みと、高齢者福祉費の推移見込みを算出し、公表を(10、15年後の超高齢・人口減少社会の現実直視・備えを) ‐

県庁職員の残業代、残業時間について、県議会決算特別委員会における鴻巣市選出、中屋敷慎一議員さんからの質問で発覚いたしました。上田知事は様々な県政改革に努力され、これまで大きな実績を残されてきましたが、知事一人のご努力には当然限界がある出来事であり、県庁職員の責任意識と財政に関する危機意識の欠如だと思います。
 一方、国の財政は、麻生政権の時代からその年の税金の倍以上借金をして、税金を使っても景気がよくならず、国民が先行きの見えない不安を抱えたままでおります。その理由は、これまで経験したことがない今後の人口減少と超高齢社会や、アジア諸国の経済発展による日本企業の影響がどうなるか分からない先行きに対する不安ですとか、税金、健康保険の税負担が今後どのぐらい高くなるのか、年金がどうなるのか、行政サービスがどう変わるのか具体的に示されず、漠然とした不安感を国民に持たせたままであることが大きな要因ではないでしょうか。
 その不安を解消するために行政、政治は存在し、安心できる財政計画とビジョンを抽象論やきれいごとでなく、具体的に県民に示さなければならないと思います。
 過去10年間で国民の年収は100万円下がったと言われております。市議会議員時代にも私はこの質問を行い、埼玉県の今後の財政計画は現在3年間作られておりますが、狭山市も以前は3年計画でしたが、5年間の財政計画が狭山市では作成され、狭山市の福祉予算が今後どう増加していくのか、財政予測を作成していただきました。結果といたしましては、介護保険料は5年後までに25パーセントの値上げ、国民健康保険税の増額は今後4年間のうちに約10パーセント値上げを見込みました。また、市町村は合併協議のときには今後30年間の財政見込みを、あるいは狭山市に関しては、駅前開発のときに今後の歳出見込額をそれぞれ広報で市民にお伝えをいたしました。
 奇抜な聞き方と思われるかもしれませんが、今後10年、15年で県民税は増税しないで済むのでしょうか。様々な行政サービスはいつ頃大きな見直しを迫られ、県庁職員の人件費さえままならないことは避けられるのでしょうか。議員の報酬は今のままでいいのでしょうか。県の支出でいわゆる福祉予算、専門用語で言えば民生費、衛生費は10年前と比べて今年度7割も増加しております。9人が死亡した山梨県内の高速道路のトンネル事故に見られるように、今後インフラの補修工事は更に予算の前倒しが必要になるかもしれませんので、支出計画は更に大事になってきていると思います。協働社会である今日、県民と一緒に県財政を考えるときだと思います。
 県の財政担当課と話した段階では、大変恐縮ですが責任逃れとしか思えない話しか聞こえてきません。県の収入、歳入の計画を10年、15年後まで作ってくださいと言っているわけではなく、今後の税制などがどう変わるかは分かりませんので、今の制度で考えた支出、歳出が今後どうなるのか、過去の歳出で特に高齢者福祉費の伸びがどのくらいなのかを目安とした支出の見込みの資料が何もなければ、県庁職員は県民に聞かれても「分かりません」になってしまいます。
 ちなみに、県の医療費の今後の推計は何と13年後の平成37年まで既に示されています。できないわけがありません。不確定要素があるというのなら、この資料も作らなかったのではないでしょうか。知事のお考えをお聞かせいただきたいと思います。


答弁者:上田清司 知事

(県では、3年間の中期財政収支試算を作成し予算編成の参考にしております。
 この試算では、国の「経済財政の中期試算」の名目成長率や3年間の「中期財政フレーム」を参考に、県税や地方交付税などを機械的に見込み歳入として算出しております。
 これによる本県の一般会計の歳入は、平成25年度が1兆5,930億円、平成26年度が1兆6,040億円、平成27年度が1兆6,090億円と、ほぼ横ばいになっています。
 歳出については、定数削減目標や今後の大規模プロジェクトの予定、過去に借り入れた県債の償還などを勘案して算出しています。
 高齢者福祉関連の歳出については、例えば後期高齢者医療関係費は直近の決算の伸び率を参考に機械的に算出しています。
 これによる本県の一般会計の歳出は、平成25年度が1兆6,950億円、平成26年度が1兆7,140億円、平成27年度が1兆7,330億円と、増加傾向にあります。
 このように財政収支試算は、現行の制度や方針が継続することを前提として算出しております。
 したがって、この数字には予定されている消費税増税による地方の増収分は入っていません。
 一方で、地方の財政状況に大きな影響を及ぼす今後の社会保障制度について、11月30日に「社会保障制度改革国民会議」の初会合が開かれて検討が始まったばかりです。
 近い将来、社会保障制度の変更が予想されている現時点において、10年以上の長期的な財政収支の推計を行っても、およそ参考になる試算にはならないと私はそんなふうに考えておりますので、そういう意味での指示は事務方にしておりません。
 こうした社会保障の制度設計というものは、将来の安心を確保するものでありますので、常々私は、この社会保障制度は、与野党関係なく、休戦ゾーンにして、まさに英知を結集して、もちろん微修正はあるべきだと思いますが、骨格が政権交代の度に変わるようなことがないようにしていただかないと、実際実務をやる地方も困りますので、ぜひこの三党合意に基づく国民会議の場を大事にしていただいて、まさにプロの方々と各党を代表するそれぞれ熟達の人たちが入って、国民的な合意を取り付けていただきたいと考えているところです。