災害対策について

平成26年2月27日 県議会、一般質問

1.災害対策についての質問

質問 中川 浩

①“知事・市町村長 災害対策会議”(仮称)を設立し、定期的に危機意識の共有を
 私が議員になろうと思ったきっかけは、今から19年前の阪神・淡路大震災の被災地、神戸市灘区で半月間のボランティア経験がきっかけで議員になろうと決意をいたしました。阪神・淡路大震災で大きく注目された一つは、淡路島北淡町のふだんからの要援護者の把握と親身な対応でした。あれから19年がたちましたが、県内市町村で災害時要援護者の個別支援計画は残念ながらまだ策定し終わっていないところが約半分、63市町村中30あり、策定されている市町村でも実効性が伴っているとは思えません。
 都会だからと、災害は許してくれません。この対策が機能していけば、防災だけに限らず、高齢化対策、防犯対策など、あらゆる地域の課題解決の礎になります。市町村は首長さんの感覚、判断に大きく左右されると、これまでの災害現場で私は体験してきました。これまで主に6つの災害現場に関わらせていただきました。
 例えば、東日本大震災の当日、県内の市によっては防災課でさえ夜6時には全員が帰ってしまい、帰宅困難者が困った市も県内にございました。防災担当の市町村職員は、防災の研修は何回も受けて訓練やマニュアル作りをしてきたはずなのにです。
 一方で、今回の大雪では、本庄市のように非常参集職員のほかに職員が200人、雪かきのために参集した市がある一方、電話対応を含めて10人ぐらいしか職員を参集させておらず、市民の間では批判が出ていた市もありました。災害が小規模であっても、行政の対応がどうだったかによってその評判は長く尾を引きます。命がけで今回除雪をしていただいた新潟県庁の皆さん、そして民間業者の皆さん、そして不眠不休で秩父市役所や、あるいは被災地で活動された市の職員の皆さんには、改めて本当にお疲れさまです。御礼を申し上げます。昨年9月の竜巻被害など、中規模の災害でも最大限職員が市民の役に立てるよう、県と市町村が一丸となって職員参集、応援力を向上させられればと思います。
 今回の14日の大雪では、市民の危機意識も課題があると思いました。一週間前にも大雪が降ったわけですが、山梨県では1,000台の車が立ち往生、私が大雪の翌日、狭山市内を雪かきしているときも車が何台も立ち往生したので、押したりタイヤの周りを雪かきしましたが、仕事や病院など以外でなぜこんなに車が出るのか、車は万能で何とかなると安易に思っているのだなと感じました。東日本大震災では避難で車が渋滞し、歩いて逃げようとしなかったため、残念ながら何人もの方が亡くなりましたし、その危機意識がまだ埼玉県民に共有されていないと感じた日でした。
 大規模災害時には、そういった市民も救助しなければならず、救助活動は更に余計に難航します。市民に危機意識を持っていただくのも重要なことです。中規模な災害でできなかったことを教訓としないと、大規模の災害では死者や関連死が出て県民が困ります。東日本大震災からわずか3年弱の間に、埼玉県では竜巻や大雪と、想定外の災害に3度も遭ってきました。今が変えるときだと思います。危機意識の共有がまず重要で、マニュアルでは伝わらない上田知事のよくおっしゃる「熱伝導」が最も必要だと思います。次に来るのは首都圏の大災害かもしれません。やらなければならないことが分かっていても、一つ一つを実行に移そうとしなければ、東日本大震災で亡くなられた方は浮かばれません。
 そこで、(1)、(仮称)ですが、知事、市町村長の災害対策会議を設立し、首長同士が定期的に危機意識を共有してはいかがでしょうか。


答弁者:上田清司県知事

①「『知事・市町村長災害対策会議』を設立し、定期的に危機意識の共有を」についてでございます。
御提言は大賛成です。
知事と市町村長が危機意識の共有を図る事は極めて重要であります。
昨年9月には、市町村長トップフォーラムというものを開催し、私も出席し、危機や災害発生時に求められるリーダーの役割を再認識して頂いたところでございます。
御提案も含め、定期的に県と市町村の間で危機や災害について理解を深め合い、共通認識を持てる場を考えていきたいと思います。


質問 中川 浩

②災害時要援護者支援計画の全市町村早期策定と、計画を実効性あるものに

質問後、埼玉新聞が取り上げた記事。


 大雪に見舞われた秩父市で、雪かきに参加し、孤立集落だった地域で診療所が薬を市職員に頼んで届けてくれたという話を伺い、日頃からその地域では行政職員が市民にとって親身な活動をされていると思いました。
 そこで、(2)災害時要援護者支援計画の全市町村早期策定と、計画を実効性あるものにしていただきたいと思いますが、知事のお考えをお聞かせください。

 


答弁者:上田清司県知事

②「災害時要援護者支援計画の全市町村早期策定と、計画を実効性あるものに」についてでございます。
市町村の災害時要援護者支援計画の進捗状況は、全体計画60市町村、個別計画30市町、要支援者名簿は50市町村が作成しております。
災害対策基本法により来年度からは名簿の作成が義務化されますので、計画の策定を市町村に強く求めていきたいと思います。
また、研修会などを通じて先進的な活用事例を紹介し、計画の実効性を高める取り組み、そういうものを支援していきたいと考えます。


質問 中川 浩

③(中規模の災害でも、県・市町村共)災害担当外職員の参集・応援力向上を
 今回の大雪の教訓で、インターネット、SNSを活用しようとする市もありますが、私もSNSで大雪の状況を写真で見て、秩父市の各地がこんな状況ではお手伝いに行かなければと決意するきっかけになっただけでなく、現地の人と、本日もお見えですが、つながり、てっきり十分だと思っていたことが足りておらず、現地の人が求めていることに協力するきっかけにもなりました。
 そこで、(3)県としてのSNSの活用について知事のお考えをお聞かせください。


答弁者:上田清司県知事

③「県としてインターネット、SNSの活用を」についてでございます。
被災者から発信されるSNSなどの情報を大づかみにして見るだけでも、今、何が求められるかという事について把握できる可能性があります。
また、多くの方が利用しているSNSなどの媒体は、電話が不通の場合こちらから情報を提供する手段になる場合もあるかと思います。
今までの市町村や消防本部などからの情報だけではなくて、現地で個々の県民から発信されるこのような情報も災害対応には極めて活用できるようなツールではないかと考えます。


質問 中川 浩

④災害担当外職員の参集・応援力向上を
 阪神淡路大震災で大きく注目されたひとつは、淡路島 北淡町の普段からの要援護者の把握と、親身な対応でした。
あれから19年経ちましたが、県内市町村で災害時要援護者の個別支援計画は、残念ながら、まだ作成し終わっていない所が約半分、63市町村中30あり、策定されている市町村でも実効性が伴っているとは思えません。「都会だから」と災害は許してくれません。これが機能していけば、防災だけに限らず、高齢化(・核家族化・防犯)対策など、あらゆる地域の課題解決の礎になります。
市町村は、首長さんの感覚・判断に大きく左右されると、これまでの災害現場で私は体験して来ました。
例えば東日本大震災の当日、県内の市によっては、防災課でさえ、夜6時には全員が帰ってしまい、帰宅困難者が困った市もありました。
防災担当の市町村職員は、防災の研修は何回も受けて、訓練やマニュアル作りをして来たはずなのにです。
一方で、今回の大雪では(県内の中で積雪量に違いはあったとは言え)、本庄市のように、非常参集職員の他に、職員200人が雪かきの為に参集した市がある一方、電話対応含めて10人くらいしか職員を参集させておらず、市民の間では批判が出ていた市もありました。災害が小・中規模であっても、行政の対応がどうだったかによって、その評判は長く尾を引きます。
その一方、命がけで除雪作業を行って下さった新潟県庁の皆さん、民間業者の皆さん、不眠不休で業務にあたった秩父市などや県庁職員の皆さん、本当にありがとうございました。
昨年9月の竜巻被害など、(市内全域ではない)中規模の災害でも、最大限職員が、市民の役に立てるよう、県と市町村が一丸となって、職員参集・応援力を向上させられればと思います。
今回の14日の大雪では、市民の危機意識も課題があると思いました。1週間前にも大雪が降った訳ですが、山梨県では千台の車が立ち往生。私が大雪の翌日市内を雪かきしている時も、(雪に弱い構造の)車が何台も立ち往生したので押したり、タイヤの周りを雪かきしましたが、仕事や通院など以外で、なぜこんな日に車で出るのか、車は万能で、何とかなると安易に思っているのだなと感じました。東日本大震災では、避難で車が渋滞し、歩いて逃げようとしなかった為、何人もの命が失われましたが、その危機意識が、まだ埼玉県民に共有されていないと感じた日でした。大規模災害時には、そういった市民も救助しなければならず、救助活動は余計に難航します。市民に危機意識を持って頂く事も重要です。(アメリカでは、市が大雪の際、非常事態宣言を出したり、市が州の道路も除雪する事をあらかじめ決めているとの事。災害会議で情報共有をして頂ければと思います)
 中規模の災害で出来なかった事を教訓としないと、大規模の災害では死者や関連死が出て、県民が困ります。
東日本大震災からわずか3年弱の間に、埼玉県では、竜巻・大雪と、想定外の災害に3度も遭って来ました。今が変える時だと思います。
危機意識の共有がまず重要で、マニュアルでは伝わらない、上田知事のよくおっしゃる“熱伝導”が最も必要だと思います。
次に来るのは、首都圏の大災害かも知れません。
 やらなければならない事が分かっていても、ひとつひとつを実行に移そうとしなければ、東日本大震災で亡くなられた方は、浮かばれません。
そこで、“知事・市町村長 災害対策会議”(仮称)を設立し、定期的に危機意識の共有を首長同士が図る場をつくってはいかがでしょうか?
大雪に見舞われた秩父市で、私も雪かきに参加し、孤立集落だった地域で「診療所が薬を、(支所の)市職員に頼んで届けてくれた」という話を伺い、日頃からその地域では、行政職員が市民にとって親身な活動をされていると思いました。
災害時要援護者支援計画の全市町村早期策定と、計画を実効性あるものにして頂きたいと思いますが、知事のお考えをお聞かせ下さい。
 今回の大雪の教訓で、インターネット SNSを活用しようとする市もありますが、私もSNSで大雪の状況を写真で見て、秩父市の各地がこんな状況ではお手伝いに行かなければと決意するきっかけになっただけでなく、現地の人とつながり、てっきり充分だと思っていた事が足りておらず、現地の人が求めている事に協力するきっかけにもなりました。
県としてのSNSの活用について、知事のお考えをお聞かせ下さい。
(今回の大雪では県庁職員の現地派遣は雪で困難でしたが)災害に直接向き合わざるを得ないのは市町村で、力は限られており、災害では、何を外部に頼むかの依頼をする手も無い事がよくあります。市町村をバックアップする重要な応援体制を構築する為、県庁職員の力を結集していかなければならないと考えます。
 災害現場で感じるのは、担当職員とそれ以外の職員の、災害現場に向けられる関心の差と、仕事量の大きな差です。(阪神大震災では、被災していない市民がパチンコをやっている事がマスコミで批判されました)
防災担当職員は異動で変わるので、県庁の防災担当ではない皆さんにも、お休みの日に、大雪に見舞われた秩父を見て頂ければと思います。
県と市町村の職員参集・応援力の向上について、知事のお考えをお聞かせ下さい。


答弁者:上田清司県知事

④「災害担当外職員の参集・応援力向上を」についてでございます。
埼玉県では、災害の規模に応じて職員の配備体制を定めております。担当部局の職員だけではなく、全職員を対象とした参集体制を取っております。
各市町村でも、多少の差はありますが同じような職員の参集体制が定められております。
今回の大雪災害は従来の考え方を変えざるを得ないようなものであり、多くの課題が明らかになりました。
県でも、市町村と共にこの災害に対する対応方法の検証を行う中で、担当外職員の参集・応援力の向上について十分検討をしてまいります。


質問 中川 浩

⑤“首都圏広域災害ボランティアネット”(仮称)設立を(土木など専門職を含む)
・埼玉県災害ボランティアの活用を
 少子高齢化や相次ぐ災害で、協働が叫ばれている中、県内社会福祉協議会のボランティア人数は減っています。
昨年9月の竜巻被害で、ガレキの片付けに参加し、現場で目の当たりにしたのは、社会福祉協議会がニーズの把握に手間取り、足回りが悪いと感じる一方、災害現場に慣れている県外(宮城)のボランティア組織が、一番被害の大きかった地区の自治会と連携し、現地災害対策本部・ボランティア本部を集会所で運営し、とび職や重機を持っている日頃の人脈も駆使して、住民のニーズに昼夜問わず、即座に対応していた事です。
 そこで、頻発している首都圏の次の災害に備え、それがどこで起きてもいいように、土木など専門職を含む“首都圏広域災害ボランティアネット”(仮称)の設立を提唱・呼びかけてはいかがでしょうか?
また、県が制度化した埼玉県災害ボランティア制度は、(私も登録しておりますが)近年活用されておらず、有機的に活用してはいかがかと思いますが、知事のお考えをお聞かせ下さい。

<参考:ボランティアの状況>
①埼玉県防災ボランティア(平成8年~)  登録者270人 40団体
②竜巻ボランティア  越谷・松伏1952人  熊谷・行田671人
③福祉ボランティア
埼玉県 10万5千人→10万人  栃木県4万8千人
神奈川県(政令市除く)5万3千人
④市町村社会福祉協議会 独自の取り組み
・寄居町社協 見回り活動 ・ふじみの市社協  勝手に見回り隊
・行田市社協


答弁者:上田清司県知事

⑤「『首都圏広域災害ボランティアネット』の設立をー埼玉県災害ボランティアの活用をー」についてでございます。
埼玉県災害ボランティアは、平成8年に登録を開始し3年ごとに更新はしております。
御指摘頂きましたように、災害を想定した訓練などを実施して来なかった事から有効に活用されておりません。
そこで、今回の大雪災害を教訓に、ボランティアが災害時に積極的に活動してもらえるような研修や訓練というようなものをどんな形で作っていくか、そうしたことについてきちっと考えていきたいと思います。
また、首都圏広域災害ボランティアネットの御提案ですが、大変意味のある提案だと思います。
大災害時に首都圏で適切にボランティアを派遣したり配置できれば、復旧復興により役に立ちますし、そうした事も極めて重要だと思います。
ただ、どのような形でネットワークを作るかという事については、また、中川議員と改めて、その課題については、議論研究をさせて頂きたいと思います。


質問 中川 浩

⑥県民自身の食糧等備蓄の改めての徹底を
 私は、大雪で孤立した秩父市大滝の5つの集落の家を、地元の方と(孤立が解消された後22日に)訪問し、14人の方にお話を伺ったところ「普段から食料や燃料を備蓄している」「大雪の予報だったので、木曜日の段階で病院に薬をもらいに行って良かった。金曜日は朝から雪が降り出したので」(「あと2日孤立が長引いたら、燃料が切れたので、少しドキドキした」)とのお話を口々にお聞きし、日頃からの備えの精神を感じました。
 秩父だけでなく、今回の大雪では、都市部のスーパー・コンビニでも、食料品が底をつきました。
東日本大震災からこれで2度目の品薄です。もう東日本大震災の時のような、品薄だから余計に買いに走るというパニック状態を2度と見たくありません。
 今回の大雪を大きな機会と捉え、県民自らの食糧等備蓄の改めての徹底をお願いしたいと思いますが、知事のお考えをお聞かせ下さい。


答弁者:上田清司県知事

⑥「県民自身の食糧等(など)備蓄の改めての徹底を」についてでございます。
現在、県や市町村では、主に避難所の避難者を対象にした水や食料の備蓄をしていますが、県民が必要な食料を全て備蓄しておく事は極めて困難かなというふうに思います。
そこで、県では、家庭で備蓄食料を使いながら新しいものを順次買い足していく「ローリング備蓄」というものを広報紙などで繰り返しお願いをしております。
現在見直しの中の地域防災計画にも、このローリング備蓄の内容を盛り込み、県民に食料備蓄の徹底を働き掛けていきます。