2013年9月10日の活動

東海第2原発を視察 副所長さんなどと意見交換】
(正式名称は、東海第2発電所)

東海原発・東海第2原発の全景(左側の建屋が第2)。
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 現地視察したのは、中央制御室内・ドライキャスク(使用済み燃料乾式)貯蔵施設内・防護壁・取水口・緊急時資機材置場・非常用ディーゼル発電機など。視察中携帯したガイガーカウンター(放射線測定装置)は、視察後も0.00でした。
 かなり突っ込んで意見交換させて頂きました(視察時間2時間40分)。
 これまで私は、柏崎・刈羽原発には3度、浜岡原発と六ヶ所村核燃料再処理施設に1度行かせて頂き、柏崎は停止中の炉心まで入りました。

東海第2原発にて、副所長さんなどと意見交換。
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 今日現地に伺って開口一番に言われたのは、「オリンピック開催だと、電力が更に必要になりますね」との事。
 “原子力発電専業会社”として日本原子力発電株式会社は、昭和32年に設立。東海第2原発以外に敦賀原発を所有(昭和45年運転開始)。


東海原発の廃炉計画書。
放射性廃棄物の処分場が無い為、計画通り進むのかどうか。

 東海発電所は廃炉工事中(日本初の原発。昭和41年運転開始。平成10年に運転停止)。 
 熱交換器の撤去は、まず吊り上げ、下から順番に同じ場所で撤去する事により、汚染区域を狭くする工法で行っている。
 しかし、放射性廃棄物の“搬出先”が決まっていない。搬出先が決まらない間は、本来は解体しないほうが、管理しやすい。廃炉計画で原子炉の撤去はオリンピックがある2020年までとの事(だが、聞いていて、終わりそうにない感触)。

使用済み核燃料が入っているドライキャスク(東海第2原発)。
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 ドライキャスク(使用済み燃料乾式)貯蔵施設があるのは、福島第1と、東海第2原発だけなので、関西電力など他の電力会社がよく見に来ている。東海第2は、使用済み燃料プールが小さかった事からドライキャスクがある。
 ドライキャスク貯蔵施設は平成13年度から貯蔵開始。24基貯蔵出来て、現在15基が入っている(東海原発で発生した使用済み燃料のみ)。六ヶ所村の再処理施設が稼働すれば、いっぱいになる事は無い。
 キャスク1基に付き、燃料棒は61本入る。キャスクの直径は2.4m、長さ5.7m。日本製。
 青森県むつ市に300基入る貯蔵施設が先月完成した。
 ドライキャスクの入っている建屋に今日は入らせて頂き、キャスクの近くまで行くと熱を感じ、キャスク自体に素手で触って見たら、50℃くらいあるそうで、少し熱かった。キャスクの中は約200℃あり、外側は外気と比べて最高で30℃高いのが安全基準。キャスクの入っている建屋は密閉されてはおらず、外気を低い所から入れ、上に排気口があって温まった空気が出るようになっている。4気圧のヘリウムをキャスクの中に入れており、外気の基準は2ミリシーベルト以下。キャスクの耐用年数は40年となっている。ドライキャスクは、車で運べる仕様には、なっていない。
 免震重要棟は、東日本大震災時、建物だけ出来ていた。
 震災後、非常時用に新たに配備した原子炉冷却などに使うホース延長車のホースの最長は2km。通常の消防車のホースの直径は60㎜だが、ここのホースは200㎜。
 高圧電源車は1週間分の燃料を備蓄し、タンク車も配備。
 東海第2発電所。
 中央制御室はガラス越しでなく、中に入って説明を聞きました。
 定期検査の時は、最大1日3千人の関連企業社員が関わる。
 東日本大震災時、この地区は震度6弱。原発敷地内は低い所で標高3m。
 津波で排水ポンプ1台が使えなくなった。
 防護壁が平成23年3月末に竣工だったので、震災時、隙間から浸水、非常冷却用海水ポンプ1台が故障した。ポンプは高台に3台予備を新たに配備。
 震災時、東海・東海第2原発で死者は出なかったが、隣の東京電力の火力発電所で足場の上にいた作業員4人が落ちて、亡くなった。1人が中づりになり、鳶職人が救助した。
 現時点で原子炉建屋に、ベント2箇所・ブローアウトパネルが付いている。
 バックアップ電源は、16時間分の発電に加え、40時間分発電出来る。
 再稼動申請に向けての状況について質問
 防災対策上、まだ整備されていないのは、例えば、フィルター付きベント(2,3年の工期)、送水管の多重化(同じ場所だけでなく、色んな場所から管を設置する)、通信設備など。ただ整備計画にそれらが計画され、地元理解が得られれば、申請は可能ではある。
 東海第2原発周辺の市町村からは、“防災協定の結び直し”を求められている。
 これまでは、東海村の隣の隣の市町村までが、防災協定を結ぶ範囲だったが、現在は30km圏内の市町村まで求められている。

<私から質問した主な内容>
①原子力発電を今後も続けていくには、もし万々が一、事故が起きた時の責任を国も負うようにしないと、民間会社では責任を負い切れないのではないでしょうか?
 その責任の所在が不明だから、国民も不安に思う部分があるのではないでしょうか?
②県議会議員として、福島原発事故の対応の一番の教訓としなければならない事は、県の対応。
事故直後、スピーディ(緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム SPEEDI)の情報や、放射線量の情報を、福島県が隠してしまった事は、原子力発電そのもののイメージに、水素爆発の映像に次いで、大きなダメージを与えたと思うので、県の情報開示が何より大事だと思いますが、どうでしょうか?
③被災者生活支援法で、私は、これから新たに自主避難する方にも支援をすべきだと思いますが、どう思われますか?
 避難区域以外でも、一定の放射線量があり、不安に思っている方を封じ込めているだけでは、理解は得られないのではないかと思いますが、どうでしょうか?
 埼玉県には福島から大勢避難して来られていますが、被災された方からは、例えば「帰還準備区域は、補償するのが嫌だから、帰そうとしている」と言われる事もあるので、そういう地域でも、自主避難が認められるようにしてはどうかと思いますが、いかがでしょうか?
④福島原発事故で、狭山茶は大きな風評被害を受けました。原子力発電は、ただ“エネルギーの安全保障”という意義を口にするだけや、このように実際の現場を見させて頂くのはいい事ですが、それだけでは、中々イメージを払拭できず、これら①~③の事に国が対処しなければならないと思いますが、現場としてどのように思われるでしょうか?など。
 これら質問の全ての項目に前向きにお答え頂きました。お答えを詳細には記しませんが、「安全だけではなく、“安心”して頂けるようにしなければならない」とおっしゃっていました。
 “埼玉から一番近い原発”を早い時期に見たいと思い、今回視察しましたが、大変有意義でした。

東海村長に山田氏 原発再稼働に中立の姿勢(映像)9月9日 日テレ

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埼玉県庁。
県議と意見交換。
企画財政部調整幹。八ツ場ダム建設工事内容の変更。
議事課。議会改革について提案。
新聞記者と会合。県議会改革について。
(終電で帰宅)
視察報告書作成(2時半まで)。